2015-07

文字の海を泳ぐ ブログ連載第四回 ノンフィクション

 わたくし、紺堂カヤが読む本のうち、小説(児童書・ライトノベルを含む)は実に八割近くに上る。これは、私が読書の記録を取り始めた小学六年生の夏から現在までを考えておおよそで出した割合だ(とはいえ計算したわけではない。目算である)。近年、とまだ呼べるだろう大学四年間と社会人になってからの数年を除いて考えたら、小説が占める割合は九割を優に超えるはずである。
 要するに、小説に比べてエッセイやノンフィクションの読書量は圧倒的に少ないのである。理由は恥ずかしくなるほど単純で、小説の方が面白いから……。それでも、小中高の頃よりは、という枕詞を置く前提にしてではあるが、読む量はだんだんと増えてきた。もう大人なのだから、面白くなかろうと我慢してある程度は読まなければ!と、そう思ったわけではない。ノンフィクションも面白いのだとわかるようになったのである。ノンフィクションの面白さがわかるようになったときこそが、私が本当に「活字中毒」となった瞬間ではないだろうか、と思うが、それに関する考察はひとまず今回脇に置いておく。
 ノンフィクションを面白く感じることができるという幸福を味わうことができたのは、あることがきっかけにあった。
 大学受験である。
 受験勉強において、私はあまり国語に重きをおかなかった。特別勉強しなくても点が取れたから……、というと感じが悪いが、裏を返すと国語以外の科目は血眼になって勉強しなければならなかったためだ。もちろん、まったく国語の受験勉強をしなかったわけではない。さすがにそこまで自信満々でもなければふてぶてしくもなかった。それでも、古典以外の小説・説明文の分野を勉強する機会となると、受ける大学の入試過去問題に取り組むときくらいであった。
 そう。その過去問に出題されていた説明文が、非常に面白いものが多かったのである。大学によって非常に様々な個性を見せる入試問題であるが、私が目指した大学は、その題材選びのセンスが非常によかったと見え、問題を解くために読み進めながらも「これは」と思わずのめり込むものが少なくなかった。問題として抜粋されている部分だけではなく、前後も読みたいと思い、受験勉強が佳境に入っていた時期であったというのに出典元の本を探して読んでしまったことすらある。
 ノンフィクションを面白いと思えなかったのは、私に面白いと思えるだけの知識や教養がなかったという原因に加えて、これまで「本当に面白いノンフィクション」に出会えていなかったから、という原因もあったのだということに、このとき気がついたのである。
 さて。
 折角そのことに気がつくことができたのだから、それ以降のノンフィクション読書率が飛躍的に伸びてもいいはずだが、残念ながらそうはならなかった。それにはまた理由がある。「本当に面白いノンフィクション」を見つけ出して読む、という、読む前の選ぶ作業が、私にとっては非常に難しいのである。
 ノンフィクションの本の内容を説明すること自体は、そう難しいことではないと思う。もともとが論理展開されているものが多いのであるから、要点を絞って帯にアオリ文句をつければ良いのである。しかし、それだけでは面白いのかどうかはわからない。私がノンフィクションに求める面白さは「どんな内容か」ということにプラスして、その内容の演出方法……、つまり全体の構成や文章の運び方なのである。これらに優れているノンフィクションを選ぶことは、あまりあてにならないあらすじ紹介で並べられている小説の中から面白そうな小説を見つけ出すことよりもはるかに難しい。
 そんなわけで現在私は、現在手さぐりで、自分にとって面白いと思えるノンフィクションのタイトルを増やしているところなのである。とりあえず気になるテーマの売れているノンフィクションを読んでみる、同じ著者の本をひとまず選んでみる、そこから関連する本をたどってみる、ノンフィクションに精通している方からおすすめを聞く……、などを試しながら勘を磨こうと努力しているのであるが、何か良いコツなどをお持ちの方がいらっしゃったら是非ともご教授いただきたい次第である。

新しいことのお知らせ

こんにちはー!
ここのところはもっぱら、読書エッセイの更新にのみ使われている当ブログでございますが、本日は少々、別件のお知らせをさせていただく所存でございます。

このたび、紺堂カヤは、つばめ綺譚社とは別のところでも文章の活動をさせていただくこととなりました。
文章の活動、と表現したのは、まったくのオリジナルで活動するわけではないためです。「創作活動」とは銘打てないので・・・;
どんな活動か、と申しますと。
WTRPGと呼ばれるノベルゲームのシナリオでございます。
ファナティックブラッド、というゲームの、シナリオライターとして、活動をさせていただけることとなりました。
私としましてもこうしたゲームにかかわらせていただくのは初めてのことなので、緊張してますが、楽しみな気持ちもそれ以上にあり、高揚しております。
まだ紺堂のシナリオは公開されておりませんが、おそらく近いうちに、初の「依頼」が公開になることと思います。
ご興味がありましたら是非、一度覗いてみてくださいませ。

リンク: ファナティックブラッド

当ブログでこのマスター業に関しての発信をすることは、今後あまりないかとは思いますが、何かの折にお知らせなどをすることはあるかもしれません。
紺堂を機会に、このゲームに興味を持っていただけたならとても嬉しいですし、そうでなくても、「ああ、なんかやってるんだなあ」くらいで温かく見守っていただけたらと存じます。

よろしくお願いいたします!

文字の海を泳ぐ ブログ連載第三回 読んでいない本

 たくさん本を読まれているんですね、と言っていただくことが、たびたびある。本のおすすめをしていただくときにも「もう読んでるかもしれないんですけど」と前置きされることが多く、「私がおすすめしたい本は全部、すでに読んでいそうなのでおすすめできる本がありません」と言われたことすらある。
 なんだよ、今回のテーマは「私はたくさん本を読んでます自慢」かよ、と思われたかもしれない。そうではない。その逆である。
 実際のところ、おすすめしていただく本の中にすでに読んだことのあるものが挙げられている率はとても低い。前回の「おすすめの本」に書いた、年末に大々的におすすめを募集したときも、読んだことのある本は十冊に一冊以下、パーセンテージにして約五パーセント、といったところであった。また、会話の折々で「紺堂さんは、この本ご存知ですか」と訊かれたときの「お恥ずかしながら存じ上げません……」という返事がなんと多いことか。
 つまり「おすすめしたい本は全部、すでに読んでいそう」というお言葉に回答すると「そんなわけねぇ!」なのである。たくさん本を読んでいる人、というイメージを持っていただけていることは大変嬉しいが、そのイメージのためにおすすめの本を教えてもらえない、いい本との出会いのチャンスを逃してしまう、というようなことがあるならば、それは非常にマイナスである。これはいけない!私がどれだけ、本を読んでいないのかをアピールしなければならぬ!
 そんなわけで、今回のテーマになるのだ。すなわち、読んでいない本がどれだけあるか、ということである。
 読んでいない本の中には、その存在すら知識として持っていない、ということももちろんあるが、そうでなく、タイトルや作者名を「知ってはいるが読めていない」という本も、それはもう多数に存在する。活字中毒の方は誰しも、多かれ少なかれそういう本に心当たりがあるのではないだろうか。私は、中学生くらいの頃には「読みたい本リスト」なるものを作って気になる本を片っ端から加えていたものだ。現在はリストというほどのものを作ってはいないが、それでも、書店や図書館、またはテレビや雑誌の中で気になった本を見つけるとメモしておく習慣がついている。
 その「読んでいない本」の中からほんの一部、三冊だけを、恥を忍んでご紹介させていただく。読んでいない本の、それもタイトルや作者名は見聞きしたことがあるタイプのものだけでの総数はこれの何百倍もあると思っていただいて間違いない。世の中に出回っている本まで含めたら、いうまでもなく、星の数ほどに上るだろう。

1.滝沢馬琴(曲亭馬琴)『南総里見八犬伝』
 ありとあらゆるメディアミックスの波に洗われても色あせることのない名作である。(読んでない)
 そのメディアミックスの波に乗って、登場人物やらあらすじやらは知っているものの、本家本元を読んだことはない、というパターンの「読んでいない本」である。メディアミックスの波に乗って、とは言うものの、その「八犬伝をモチーフにした作品」にもまだまだ読んでいない名作があるため、そちらから先に攻めようか……、などと考えているところである。

2.ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
 人物の交錯を見事に描いた、世界文学屈指の名作である。(読んでない)
 近現代文学を専攻した者としてこれを読んでいないのは、まことに恥ずべきことなのであるが、ロシア文学という名前の重厚さに尻込みして手が出せなかった、という先入観パターンの「読んでいない本」である。エンタメとして読めるんだよ、というおすすめをいただき、手元に購入してあるため、今年中には読破する予定である。

3.宮部みゆき『模倣犯』
 直木賞作家・宮部みゆきの代表作ともいうべき、知名度も評価も高い名作である。(読んでない)
 宮部みゆきの作品自体は、読んでいるものもたくさんある。お気に入りも多い。しかし、いまだ読めていないものもたくさんある。『模倣犯』は話題になった当初からずっと読みたいと思っていたにもかかわらず、あの分量の多さにより、一気に読む時間が作れたら読もう、と思っているうちに今まで来てしまった、というパターンの「読んでない本」である。一気読みにこだわらず、そろそろ読み始めるべきだろう。

いかがだろうか。「読んでいない理由」のパターンには、いくつか共感していただけるものもあったのではないかと思うが、それよりも、「こんな名作を読んでなかったの!?」「すぐに読むべきだ!!!」などというご意見がきっといただけるものと思って、神妙な顔でお待ち申し上げている。

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プロフィール

紺堂カヤ(華夜)

Author:紺堂カヤ(華夜)
文筆家。
日々悪戦苦闘、ただしマイペースに。
文学と声をこよなく愛する。
二つ名は「筆舌破天候ガール」
創作サークル「つばめ綺譚社」にて小説を書いています。
また、クラウドゲート㈱のWTRPG「ファナティックブラッド」にてシナリオをリリース中。

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