2015-06

文字の海を泳ぐ ブログ連載第二回 おすすめの本・その1

 さあ、ブログ連載の第二回は、紺堂のおすすめの本を紹介しよう。……という内容ではない。それをしたい気持ちはあるが、そうしておすすめの本のタイトルを挙げていったら、それこそ、大海原を泳ぐがごとく果てしない旅が始まってしまう。
 今回テーマにするのは「本のおすすめをしあう」ということについてである。私は、人に本をおすすめするのも、人から本をおすすめされるのも、とても好きだ。
 おすすめするときには、単に好きな本をそのまま伝えるのではなく、相手の好みを考え、許容範囲を推察し、楽しんでいただけるのではないかと思われるタイトルを選ぶ。それはときに、私はあまり好まなかったけれどこの人なら楽しめるのでは、というおすすめの仕方をすることにもなり、その予想が的中すると、自分が読んだときには受け取ることのできなかったその本の魅力を、おすすめした相手を通して味わえたような気持ちになるのである。
 おすすめされるときに、そのように選んでくれ、ということではない。大好きな本をそのまま教えてくださればよい……というより、何でも構わない。あまり良い印象を持たれない表現かもしれないが、本当に、何でも構わないのだ。私が知らない本、を「面白い」と誰かが思った、というそれだけで充分、私にとって「読みたい!」という気持ちに繋がる。
 誰かがおすすめしてくれた本、というのは、その本を読む前から楽しめる。これは私が自分で読む本を選ぶだけの生活をしていたならば一生読むことがなかったかもしれない本だ、というものが少なからず、いや、かなりたくさん、あるからだ。おすすめしてくれた人の読書体験のカケラが、本の間にそっと挟まっているようで、本の中身と共にそのカケラも飲み込むことができるかもしれないと思うと、特別なときめきを感じる。
 そのときめきを求めて、私はたびたび、いろんな方から本をおすすめしてもらうのだが、昨年末に、ツイッターにて大々的に「おすすめの本」を募集させていただいた。それらを、一年かけて全部読む、というのが今年の私の目標である。特に工夫をしなくても楽しい読書という行為を更に楽しくしようという試みである。
 現在、六月の下旬にさしかかっている。つまり、一年の半分が過ぎたわけだ。ここで、その「おすすめされた本」のラインナップを公開するとともに、一年かけて全部読む、というその目標達成まであとどのくらいになっているのかという進捗状況の報告もさせていただくこととする。
 下記にずらり、と並べてみた。順番はおすすめを頂いた順だ。初版で読んでください、とかそのような注記も加えてある。もちろん、それに従って読むつもりだ。わざわざ書いてきてくれた、ということはそれだけ、こだわりがあるということなのだから。
 赤字で表記してあるものが、これまでに読んだ本である。なお、シリーズでおすすめしていただいたものについては、最初の一冊を読んだ時点でクリア、とさせていただいた。

横山秀夫『クライマーズ・ハイ』
高村薫『マークスの山』
辻村深月『ハケンアニメ!』
柴村仁『プシュケの涙』
ジョージ・オーウェル『1984年』
森谷明子『千年の黙 異本源氏物語』
加納朋子『少年少女飛行倶楽部』
中澤日菜子『お父さんと伊藤さん』
有川浩『旅猫リポート』
伊藤計劃『虐殺器官』
アーサー・C・クラーク『2001年宇宙の旅』
アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』
アイザック・アシモフ『銀河帝国興亡史』
アルフレッド・ベスター『虎よ、虎よ!』
ブラッドレー・ボンド、フィリップ・ニンジャ・モーゼズ『ニンジャスレイヤー』
植木理恵『シロクマのことだけは考えるな!』
橋本紡『流れ星が消えないうちに』
髙田郁『みをつくし料理帖』シリーズ
出久根達郎『御書物同心日記』
月村了衛『機龍警察』シリーズ
三田誠広『西行 月に恋する』
青木玉『着物あとさき』
三津田信三『ホラー作家の棲む家』(新書版)
森博嗣『そして二人だけになった』
森博嗣『黒猫の三角』(Vシリーズ)
森博嗣『地球儀のスライス』
有川浩『キケン』
長野まゆみ『天然理科少年』(ハードカバー版)
本多孝好『at Home』
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『たったひとつの冴えたやりかた』
有川浩『ヒア・カムズ・ザ・サン』
本谷有希子『ぬるい毒』
斎藤美奈子『モダンガール論』

 いかがだろうか。ひとりにつき何冊、と定めなかったために多少、偏りのあるラインナップになっている部分もあるが、特に統一性のないこの一覧の中に、皆さまの読書欲を刺激するタイトルが、ひとつくらいはあるのではないだろうか。
 進捗状況をお伝えしたからには、今年の年末にはこの一覧を読みつくすことができたかどうかの結果報告も、当然、させていただく予定である。
 ブログ、という、紙面に比べて比較的「現在」を押し出しやすい媒体での連載だからこそできることだな、とひとりで悦に入っている次第だが、どうぞ楽しみにしていただけたらと思う。

文字の海を泳ぐ ブログ連載第一回 芥川賞・直木賞

 読書エッセイ『文字の海を泳ぐ』のブログ連載のスタートである。
 このエッセイは、つばめ綺譚社の不定期刊行雑誌「つばめの巣」で連載しており、そちらは現在四回を数えている。そちらを読んでいる必要はまったくなく、このブログ連載も毎回、単発の話題で書くつもりでいるため、どうぞ軽い気持ちで読んでいただいて、楽しんでいただけたら幸いである。……もちろん、読んでいただけるのならばもっと幸いであるので、気になった方はどうぞ、つばめ綺譚社でお求めいただきたい。
 それにしても、読書にまつわるあれこれを好きなように書き連ねたこのエッセイが、大変ご好評をいただいているとのことで、大変有難く、恐縮している。恐縮している割には、こうやってブログでの連載も始めてしまったりというお調子者加減なわけであるが。

 さて。前置きが長くなってしまったが、今回のテーマは「芥川賞・直木賞」である。来月半ばに行われるであろう、上半期の審議会に先立って……、という意図が別にあるわけではない。単に、これを書いているちょうど今、黒田夏子『abさんご』(2012年下半期芥川賞受賞)を読んでいるから、という個人的な理由と思いつきによるテーマ選びである。
 芥川賞と直木賞。誰もが耳にしたことのある言葉であろうし、活字中毒仲間の皆様におかれては、毎度注目しているという方も多いのではないかと思われる。言葉の知名度だけを言えば、それは他の文学賞に比べて圧倒的で、子どもですら耳にしたことくらいはあるだろう、というレベルである。
 「芥川賞か直木賞に応募したらいいじゃない」と、初めて言われたのは中学生の頃だった。小説を書く、ということを鼻高々に吹聴して回っていた、幼き頃である。私はそのクラスメイトに「芥川賞も直木賞も応募するものじゃないの」と指摘することなく、曖昧に微笑んだ。その子に恥をかかせたくなかった、とかそういうことではない。芥川賞のなんたるかを知らぬような子にわざわざ説明してやる必要はない、と思ったのである。もちろん、賞を受賞する気は満々だった。……控えめに言っても、嫌なヤツである。当時、反抗期こそなかったものの、私もそれなりに尖っていたのである。
 そう、ご存知の方が多いとは思うが、芥川賞・直木賞は公募制ではない。よって、賞に作品を出す、ということは実質できないのである。直木賞は中堅の作家の受賞が増えてきているが、芥川賞は今も新人賞であるから、文壇にデビューして何年かは「芥川賞狙いの作品」を書く作家が多いのだろうが、それと公募作品賞に応募するのとは話が違う。文壇デビューしていることが最低条件であるこれらの賞に対して、当時の私がいかに不遜な態度をしていたかわかろうというものである。尖っていたのである。
 その芥川賞・直木賞の受賞作品を、どのくらい読んでいるか、と問われると、実に申し訳ないことながら、率としては五%くらいである。(受賞作家の作品、と枠を広げるとパーセンテージは跳ね上がるが)これは、「話題になった作品は、なんとなく、手を出したくなくなってしまう」という私の妙な性質に起因するものと思われる。けれども結局、気になって「いまさら?」と言われそうなタイミングで読みだしたりするのだ。冒頭で、今読んでいる、と述べた『abさんご』もそのパターンである。良い作品はいつ読んでも良い作品だ、という持論はあるものの、受賞作品が「なぜこの年にこの作品なのか」ということを考えながら読むことには非常に意味のあることだということも承知している。自分の性質を押し切って、発表から間もなく読みかかれるようになれたら、と思うが、今後できるかどうか……。
 「話題になった作品は、なんとなく、手を出したくない」という理由と、似ているが少し違う理由で私が読まなかった芥川賞受賞作品がある。
 綿谷りさ著『蹴りたい背中』である。
 この作品で芥川賞を受賞したとき、綿谷りさ氏は十九歳。最年少での受賞であり、その最年少記録は現在も更新されていない。当時、私はこの十九歳にあと五年以内で到達する、というハイティーンになりたての頃であった。同年代、ともいえる彼女の受賞に、私はひどく衝撃を受けた。……いや、率直に言おう。嫉妬したのである。清楚な彼女の外見もあいまって、ニキビ面の私は謎の対抗心を燃やし「ふん、絶対に読んでやるものか!」と思ったのである。……尖っていたのである。
 実は、いまだに読んでいないままである。当時のような嫉妬を今も持っているというわけでは断じてなく、ただ、読もうとすると嫉妬を抱いていた頃の自分の青臭さを思い出してしまって気恥ずかしく、どうにも手が出せなくなってしまっているのだ。それこそ「いまさら?」と言われるかもしれないが、このエッセイを書くことができたことを縁とさせていただいて、今度こそ、読んでみようかと思う次第である。
 皆さまも、このように手が出しづらくなってしまう前に、是非、芥川賞・直木賞受賞作品をお読みくださるよう、お勧めさせていただきたい。

読書エッセイ『文字の海を泳ぐ』 ブログ連載始めます。

こんにちはー。
少々久しぶりの更新になってしまいました。暑くなってまいりましたね。
ひとつ、お知らせをさせていただきます!

紺堂カヤが、つばめ綺譚社の不定期刊行雑誌「つばめの巣」において連載しております、読書エッセイ『文字の海を泳ぐ』ですが、このたび、個人ブログであるこちらの「未完成まじっく」でもブログ連載をさせていただくことと致しました!
期間限定で、来年3月まで。毎月5日と20日に更新とします。
つばめ綺譚社の、5周年に向けた企画のひとつなのですが、大変有難いことに雑誌でのエッセイが好評であることにも後押しされております。
雑誌の方では読書にまつわる、周囲のあれこれを題材にすることが多くなっておりますが、ブログ連載の方では、具体的な本のタイトルや作者名を出した内容も増やしていきたいと思っております。
ブログではもちろん、連載以外の記事もこれまでどおり更新致しますので、エッセイの連載だけお読みになりたい方は、カテゴリの中から「読書エッセイ『文字の海を泳ぐ』」を選んでお読みいただきますようお願い申し上げます。

早速、6月5日より更新を開始致しますので、どうぞ楽しみにしていただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします!

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プロフィール

紺堂カヤ(華夜)

Author:紺堂カヤ(華夜)
文筆家。
日々悪戦苦闘、ただしマイペースに。
文学と声をこよなく愛する。
二つ名は「筆舌破天候ガール」
創作サークル「つばめ綺譚社」にて小説を書いています。
また、クラウドゲート㈱のWTRPG「ファナティックブラッド」にてシナリオをリリース中。

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